スロウ・スノウ
それを見た瞬間、心臓が一つ大きく波打った。
それから速度を速めていくそれに、呼吸が止まりそうだ。
私の心情なんて何も知らない春瀬。
そして彼は、さらに追い討ちをかけるように、言ったのだ。
「あの、おれ、
好きなんです。
先輩のことが、どうしようもなく」
その言葉が、一瞬理解できなかった。
けれど。
恥ずかしげにマフラーに口をうずめて。
でも、それでは隠しきれていない春瀬の頬と耳のはしっこが朱色に染まっていって。
メガネの下で、その長いまつげがほんの少し震えるのが見えて。
好きって。
好きって、つまり。
もう、だめだ。
私は、顔に集まってくる熱にたえきれず、その場にしゃがみこんだ。