スロウ・スノウ
「え、先輩!?」
突然しゃがみこんだ私に、驚いたように私と同じようにしゃがむ春瀬。
だめだって。
春瀬もしゃがんでしまったら、距離が近くなって余計に顔を上げられない。
どく、どく、どく……と、心臓が打ち付ける音が耳のそばで鳴り響く。
鎖骨の下あたりが、ぎゅ、と痛い。
ねえ、どうしたらこれ、おさまるの。
生まれて初めての感覚に戸惑って黙っていると、春瀬が静かに言った。
「……すみません。嫌、でしたか。
今のは…先輩とどうこうなりたいから言った訳じゃないんです。
だから、その、」
「──じゃ、ない」
「え?」
「っだから、嫌じゃ、ない」
違う、嫌じゃない。
嬉しい。嬉しくて、
どうすればいいのか、わからないんだ。