スロウ・スノウ


ゆっくりと。



春瀬の腕が私の背中に回される。

  


コートに染み付いた冬独特の外気の香りにまざって、春瀬の香りがする。








春瀬のそれは、抱きしめると言えるほど力強いものではなくて。





しゃがんだ私を、ゆるく包み込む春瀬。



その包容が、春瀬らしい。







あたたかい。







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