スロウ・スノウ
春瀬は、めぐる季節の中で、一体どれ程の時間を私と一緒に歩いてくれるだろうか。
──わからない。
けれど、なぜだか、わからなくてもいいか、とも思う。
ほんの少しずつ。
ほんの少しずつでも。
溶けてしまった雪のあとに、春瀬との“何か”
を残していけるのなら。
「……春瀬。
私の愛読書、読んだ感想聞いてもいい?」
「はい、もちろん!」
私を包み込んだまま、顔を覗きこんだ春瀬は照れたように笑う。
私は、そんな春瀬の笑顔が、
大好きだ。
*END *