スロウ・スノウ
まあ、私はなんというか。
あまり誉められた性格を持ち合わせていなくて。
うっとうしいのとか、面倒くさいのとか、疲れるのとか。
そういったものは極力避けるし。
仮に人が助けを求めてきてもそれが面倒事だと判断すれば。
私は多分、すぐさまそれを切り捨てる。
そんな人間。
だから正直、いきなり他人(しかも先輩)に話を吹っ掛けてくるような彼とは関わろうなどとは、少しも考えていなかった。
なんだか、うるさそうな人だし。
でも。
『先輩、今日もお向かいの席いいですか?』
『この本読んだことあります?』
『聞いてください!購買に行ったら……』
彼はそれからと言うもの、図書室に通う私を見つけては話しかけてくるようになった。
はじめのうちこそ、
なんだこいつ。
とか思ったけど。
いつの間にか彼にも馴れてしまっている自分がいて。
そして彼が初めて話しかけてきてから2か月後くらいには。
週2,3日通いだった私が、なぜか、ほぼ毎日図書室に通うようになっていたのだった。