愛の歌、あるいは僕だけの星
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転校生が来る度に起こる、お決まりの質問タイム。それが、自分の真横で行われているのだからうるさくて仕方がない。さらに面倒なことに、したたかな女子達は、そのやりとりに銀也を巻き込んで、普段つれない銀也と一緒に楽しくお喋りしたいと考えるのだから辟易する。
こっそりと席を立とうとすれば、すかさず誰かが腕に絡みつき逃げることも出来ない。
「ね、銀也君。銀也君も、そう思うよねー」
「……はあ、まあ……(何の話だっけ)」
銀也は、仕方なく笑みを浮かべながら、さりげなくべたべたと触ろうとする手を避ける。
「でも、亜矢子ちゃんほんとに可愛いよね。モデルとか出来そう。町でよくスカウトとかされるんじゃない?」
「そ、そんなことないよ。私、背が低くてスタイル悪いし」
「読モだったら、関係ないでしょ!ね、銀也君。亜矢子ちゃん可愛いよねえ」
顔を真っ赤にして俯く彼女に、「可愛い!」と大きな歓声があがる。男達も、そんな彼女の様子が気になるらしく(けれど、女子の群に割って入る勇気はないのだ)全くそわそわと落ち着きがない。
いまは、逃げられそうもないな、と、小さく溜息をついた時だった。「あ、ごめんなさい」そう声を挟んだのは三原だった。