愛の歌、あるいは僕だけの星
『美少女転校生と、眉目秀麗な生徒会長の恋……、か』
人気のない屋上の給水塔のうえで、ぼんやりと考え事をしながらペットボトルに口をつけていたところで、如月が不穏なことを言う。思わず、銀也はお茶を吹き出してしまった。
『汚いなあ』
「如月が、気色悪いこと言うからだろ!」
『気色悪いって、またまた!満更でもないくせにい。三原さん、すごく可愛いじゃん』
「そうかな?」
『なによ、なんでちょっと不満そうなの』
「べっつにい?まあ確かに、可愛いかもね。おまえよりは!」
ふんと、如月を見るも、彼女が浮かべているその表情をみてぎょっとする。わきわきと両掌を動かす如月は、まるで獲物をねらうハンターそのものだ。
「わ、ちょ、待って!頼む!!」
『待てるか!天誅ー!!』
そう言って、飛びかかるようにして、銀也の脇腹を両手でくすぐり始める。全力で身をよじって逃げようとする銀也に、まったく容赦がない。