愛の歌、あるいは僕だけの星
光を通す如月が、きらきらして眩しい。まっすぐに見れない。
「見た目だけで好きになんてなれるか、ボケ」
はあ、と大きく息を吐いて、ゆっくりと起きあがる。てっきり不服そうな顔をしているかと思いきや、如月はまるで鳩が豆鉄砲でも食らったかのように目を丸くしている。
『そりゃそうだ。ごめんね、藤原君。凄く失礼なこと言った』
「わかればいーんだよ」
『偉そうでムカつく!』
そう言いながらも、楽しそうに笑う如月に、つられるようにして笑う。ああ、まずい。本当に、こんなところを誰かに見られたら、ひとりでしゃべって笑うおかしな男だ。
けれど、やっぱり仕方ないのだ。
如月夏は、幽霊だから。当然透けていて、銀也以外には見えないし、こちらからは触れられない。それでも隣にいると不思議と退屈しないから。一緒にいたいと、思う。
こういう感情には、いったいどういう名前をつけるのが正解なのだろう。銀也は、くっきりとした白い雲の浮かぶ初夏の空を見上げ、そっと静かに考えた。