愛の歌、あるいは僕だけの星
「今日、帰りに如月に会って帰ろうかな」
『へ?何言ってんの』
いきなり何のトンチだろうと首を傾げる。そうすれば、銀也は真っ直ぐに夏を見つめながらそっと頷く。
「だから、墓。おまえの」
『え!なんで!?』
銀也の考えていることが、正直さっぱり理解出来ない。銀也は、そんな夏に心底呆れたという風な顔をする。
「お前が教えてくれないから、四十九日行けなかったんだぞ。何言ってんだよ」
『……言ったら、来てくれてた?』
「当たり前じゃん」
どうして。信じられない。夏は、戸惑いながらおずおずと聞き返せば、銀也はムスっとした顔をして、ふいと視線をはずす。どうして、彼は自分を探してくれたんだろう。死んでいるくせに、今更消えたくないと大泣きした自分を、面倒だと切り捨てずに、まるで慰めるように映画に連れて行ってくれたのだろう。