愛の歌、あるいは僕だけの星
(藤原君のこと、最近理解出来ない)
「俺、如月のこと何にも知らないって気づいて。これから、ちゃんと知りたいって思う」
『なんで……、いきなりそんなこと。藤原君らしくないよ』
「ほんとにそーだよな。けれど、それを聞かれても分かんねえもん」
『はあ?なんじゃそりゃ』
それは、ようやく聞いた彼らしい答えで、思わず笑いがこぼれた。それにつられるようにして、銀也も小さく笑みを浮かべる。
「だって、本当のことだし。如月といると……、初めてのことが多すぎて何だかおかしくなる」
さわりと、風が吹き抜けた。
色素の薄い亜麻色の髪がさらりと揺れるのがとてもきれいで、思わず目を奪われる。
それから、どのくらいふたりでそうしていただろう。この身体になってしまってから、時間の感覚が随分と鈍くなってしまった気がする。
『もうすぐ、午後の授業始まるかなあ』
「……そーだな」
『サボりはなしだよ。音楽だって授業出なかったんだし』
「はいはい、委員長は真面目ですねー……、痛い痛い!」