愛の歌、あるいは僕だけの星
「ふふ、もしかして三原さん。藤原に一目惚れした?」
「ひ、一目惚れっていうか」
にやんと、猫のように目を細めるレンゲに、三原はさっと頬を赤く染める。おずおずと上目遣いでレンゲを見る彼女は、もの凄く可愛い。
「……実を言うと、銀也君ってね。私が前に通ってた学校でも凄く有名だったんだ。ものすごくかっこいい男の子が誠東学園にいるって。まあ、性格に難ありっていうのも言われてたけど。あれだけかっこよかったら仕方ないねって、明らかに盗撮された画像もよくまわってたよ。たぶん私の場合、好きと憧れがまぜこぜになってる」
鈴が転がるような可愛らしい声音。けれどどこか凛とした表情で、初対面であるレンゲに随分潔く言ってのける三原に、夏は小さく息をのんだ。
「ああやって見た目だけで好かれて、うんざりしてる銀也君の気持ち、よくわかる。だからこそ、人の気持ちを躊躇いなく切り捨てられる銀也君は凄い。たぶん、私と銀也君て似たもの同士だから。恋人になれたら、きっとうまく行くと思うんだ」
「そんなこと、初対面の私によく言えたものね。ある意味感心する」
「だって、神谷さんは珍しく銀也君のこと興味ないみたいだから」
悪びれもせずにそう口にする明け透けな態度の三原に、レンゲもどこか意外に思ったようだった。椅子から立ち上がって、彼女の横から見下ろす。