愛の歌、あるいは僕だけの星

「やめろ!」

 叫んで、そばにあった机を思い切り蹴飛ばした。激しい音を立てて、机が倒れる。

 自分は、今何を考えた? その場にしゃがみ込む。身体の奥底から、沸き上がるような何かを、なんとかして誤魔化さなければと思った。
 だって、おかしい。変だ、気持ちが悪い。じわりと、目尻に涙が溜まる。

「ほんと……、俺、どうしたっていうんだよ」

 焦りと戸惑いの波が交互に押し寄せる。くだらない、面倒だ、と無視をしてこれたのに、今回ばかりはそれが出来ない。

『本当にわからないの?』

 出会った当初、如月が銀也に問いかけた言葉が脳裏を過ぎった。
 わからない、わからない、本当にわからないんだ。じゃあ、如月ならばわかるのだろうか。この、不可解な感情を、彼女は説明することができるのか。
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