愛の歌、あるいは僕だけの星
銀也は、そんなことを考える人間ではなかったはずなのに。まぶたをぎゅうと閉じる。火照った身体を冷ますため、シャツのボタンをひとつ外した。俯けば、目の前にさらりと薄茶の髪がこぼれる。
「髪……、そろそろ鬱陶しいなァ」
そっと目を開けて、前髪を手でときながら開けた視界で教室をみる。まるで、今の心の中をそのまま映し出したような光景だ。今し方の、爆発したかのような衝動を思い出して、深呼吸をする。
自分の中に、あんなにも激しいものが潜んでいたなんて知らなかった。そういう、人間らしい一面があると思うだけで、吐き気がした。
ふわり、教室にひとつの気配を感じる。