愛の歌、あるいは僕だけの星

『あ、藤原君!待っててくれたんだー!……て、どうしたの!?』

「……っ……」

『え?』

「……夏」

 もしも、もしも君が、ずっと傍にいてくれたら。

 無意識に、彼女に触れようと手を伸ばす。
 触れることなんて出来ないのに。

 けれど、その手を彼女は何も聞かず、そっと握ってくれた。
 そして。

「なあに?……銀也」

 俯いたまま、大きく目を見開いた。驚いて、思わず顔を上げれば、如月が心配そうに首を傾げる。

『暑いの?』

「すこしだけ」

 如月は、この惨状には何も聞かなかった。ただ、当たり前のように銀也のことだけを心配する。

『ていうか、生きてる?顔色、なんだか悪いよ』

「幽霊に心配されなくても、生きてるから」

『ちぇ、こいつ、感じ悪ーい』
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