愛の歌、あるいは僕だけの星
制御しきれないほどの高ぶりを思い出して、ぎゅうと掌を握りしめる。
「なあ……」
『なに?』
黒目がちな瞳を、銀也に向ける。
そこに、鏡のようにうつりこんだ自分を見れば、続ける言葉は喉につかえてうまく出てこなかった。
黙ったままの銀也を、夏が心配そうにのぞきこむ。
「や、ごめん。なんでもない」
『なんだそれ、変なの。ねえ、今日のお礼に、今晩は銀也の好きなメニューを伝授してあげる。何が食べたい?スーパー寄って、材料買って帰ろうよ』
「んー、じゃあ、ハンバーグ。デミグラスソースのかかってるやつ」
『いいね!目玉焼きものせた、スペシャルなやつつくろう』
細く華奢な腕をまげて、力こぶをつくまねをした夏を見て、思わず吹き出す。なんだかすごく楽しくて、笑い出したら止まらなくなった。
『そんなに笑わなくても。銀也の笑いのツボがわからない』