愛の歌、あるいは僕だけの星
「わたしなりに、だけど。まだまだ相手にされなくて」
「充分、気をつけなよね。うちのクラス、いちいち藤原の一挙一動で大騒ぎするんだから」
「銀也君て、本当にいるだけで人目を引いちゃうもんね」
どうなのかしら、レンゲがそうぼやいた。
それは、少し迷惑そうな響きも含んでいるように感じる。
「銀也君、なんであんなに苛立ってたんだろう」
「さあ、私が知るわけないでしょ。けど、まあ……、恋人と喧嘩でもしたんじゃないの?」
ちらりと、レンゲが亜矢子をみた。どういう反応をするか確かめているようだ。
「そっか、もしそうだったら不機嫌になるのは仕方ないね。けど、……銀也君て彼女いるの?」
「それは本人に聞いて。何度も言うけど、わたし藤原のことは何にも知らないから」
お手上げだと、溜息をついたレンゲに亜矢子は小さく微笑んだ。