愛の歌、あるいは僕だけの星
「や、やめて……」
「やめて欲しいのはさぁ、こっちの方なんだよね」
「そうそう。あんた、まじでうざいから。銀也にまとわりついてんじゃねえよ」
取り囲んで、暴力と暴言を浴びせるのは、銀也をめぐって争う女の子達だった。すらりとして、こぎれいな顔をしているのに、それを思い切り歪めてまるで般若みたいな形相をしている。
「私たちね、あんたみたいな目障りな女すごく嫌いなの」
ぱしんと、乾いた音が暗く湿った空間に響いた。
黙ってこの事態を受け止める。こういったことは初めてではなかった。前の学校でだって、度々呼び出しを受けては暴言や暴力を振るわれた。
彼氏に色目を使ったとか、寝取ったとか、それは真実であることもあれば、そうでないこともあったけど、亜矢子にとってみれば、どちらも同じくらいどうでも良いことだった。