愛の歌、あるいは僕だけの星
君の名
放課後、さて帰ろうと席を立った瞬間、違うクラスのはずの蒼井静香に首根っこを捕まれ、今日はすぐに帰れないだろうと諦めがついた。
のらりくらりと逃げていた生徒会の仕事だったけれど、絶対零度の笑みを浮かべた蒼井を振り切ることは不可能で、彼のお許しが出るまで一切生徒会室の外へ出ることは許されなかった。
結局、退校時間ぎりぎりまでかかってようやく一区切りつけた。蒼井は、「やれば出来るんだから、やってくださいよ」と半ば呆れたように肩を竦めながら、おつかれさまですと一応の労いの言葉を残してさっさと生徒会室を後にした。