愛の歌、あるいは僕だけの星
「……とりあえず、中入りな」
そう促せば、三原は「ありがとう」とか細い声で呟き、そのまま生徒会室へと足を踏み入れた。
嗚咽が、静まりかえった空間に響く。小さく溜息をついて、なにか飲み物でもと冷蔵庫の前にしゃがみこむ。蒼井が気に入っているらしい水出しアイスティーがガラスポットに作られているのを見つけて、そっと手にとり立ち上がった。
その瞬間、トス、と柔らかな衝撃を真正面から受けた。三原が、すがりつくように抱きついてきたのだ。「銀也君……」せっぱ詰まった声音で、銀也の名前を呼び続ける。
柔らかな感触に、内心冷や汗をかく。はだけたブラウスの隙間から、淡いレモン色の下着が見えた。固まっている銀也を、三原がゆっくりと見上げてくる。涙を落としすぎて、目の縁が赤く染まっていた。
「ソファ……、座れば?落ち着くまでいていいよ」
こほんと咳払いをして、逃げるように自分から彼女を引き離した。