愛の歌、あるいは僕だけの星
「私には、これで充分だから」
「は?」
「銀也君が、美味しいアイスティーをごちそうしてくれたから。銀也君、何も出来なくなんてないよ」
つうと、グラスについた結露がテーブルに落ちる。
「三原さん」
「……亜矢子って呼んで欲しいっていったのに。銀也君は、呼んでくれないね」
悲しい。ぽつり、つぶやいてそっと席を立った。ソファに腰掛けた銀也の前で、そっと視線を落とす。両手をのばし、銀也の顔に触れた。
「銀也君は、冷たいよね。けど、そういうところに私は救われるんだ。上っ面な言葉や態度なんてうんざりだから」
救われた?ぼんやりと彼女を見上げながら、銀也は思う。
「銀也君、顔赤いよ。西日のせいかな。それとも……、少しはドキドキしてくれたりする?」