愛の歌、あるいは僕だけの星

「ね、もう一回」

 熱に浮かされたように、唇を重ねた。舌をからませ、歯列をなぞる。息も絶え絶えに彼女が呻く。だんだんと、頭の中になにかが広がって、麻痺していくのを感じる。

(ああ、……ダメだ……)

 だから、何が。何が、ダメだっていうんだ。たかがセックスするだけで、どうしてこんなにも疑問が付きまとうのだろう。本能の波を、理性で押さえる必要なんてなかったはずなのに、頭のどこかで声がする。

「ぅっ……」

 背中にまわされていた三原の細い指が、シャツの隙間から侵入し、煽るように背中を小さくひっかいた。どくりと心臓が高鳴る。今更、止められない。そう思った。

 どちらともなく、互いの身体を求めて腕を絡ませる。頭の芯がじりじりと痺れるような、この行為特有の感覚。自分の下で、声を上げながらひたすらに銀也の名前を呼び続ける彼女。ぎしりと軋むソファの音。耳を塞ぎたくて仕方なかった。
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