愛の歌、あるいは僕だけの星
「え?」
「……夏……」
ゆっくりと、三原が銀也の身体を突き放す。銀也は、自分が口走ってしまったことをすぐに理解し、ただ呆然とした。
「っ……、ごめん」
謝らずにはいられなかった。
「ほんとうに……、ごめん」
譫言のように、もう一度。
静寂が降りる。先ほどまでの、何もかもを誤魔化して飲み込んでしまうような熱が、まるで波が引くようにあっという間に消え去っていた。
三原が、銀也を見つめる。
そして。
「夏って誰?今、銀也君が抱こうとしてたのは、私だよね」
当然のことながら、彼女の顔は激しい怒りに染まっている。こんなにも、激しい感情を表に出すのを初めて見た。