愛の歌、あるいは僕だけの星

「他人でしょ、レンゲちゃん」

「そうだね」

「こんな風に慰めて、恩でもきせたつもり?私のこと、利用するんでしょ」

「……亜矢子を利用しなくても、私はなんでもうまくやれるのよ」

 肩を竦めて言った。

「なのに、隣にいてくれるの?」

「バカだね、亜矢子。本当に、あんた不器用だね」

 ゆっくりと亜矢子の頭をなでた。ぎゅっと目を瞑る。亜矢子は、しがみつくようにレンゲに抱きついた。

「ねえ、亜矢子」

 嗚咽に肩を震わせながら、ゆっくりとなみだでぐしゃぐしゃになった顔を上げた。
< 199 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop