愛の歌、あるいは僕だけの星

「亜矢子は、本当に藤原のこと、好きだったんだね」

「え?」

 驚きに目を見開く亜矢子をみて、やれやれとため息をつく。

「どうして、そんな顔するのよ」

「好き……、私が、銀也君を……?」

 感情のままでは、はっきりとしなかった衝動が、名前をつけられただけで、酷くハッキリと形をつくる。今更、気づけなくたってよかったのに、意地悪だ。

「……ああ、そっか……」

 切り裂かれたような心の痛みに、亜矢子は顔を歪ませる。

「恋なんて、そんなもの、とっくにわかった気でいたのに」

 ぽつりと、つぶやかれた言葉。

「私……、本当に馬鹿だ」

 亜矢子は、小さく、それでもはっきりとした言葉で言った。
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