愛の歌、あるいは僕だけの星
(……夏)
「……って、アホか!きもいっつーの!」
叫びながら、煩悩を祓う修行僧のように冷水を浴び続ける。泡が、身体を離れて排水溝へと吸い込まれていく。それを確認して、そのままバスタオルを取ろうとした。
「あ……」
何やってんだ、干しっぱなしだ。
がっくりと肩を落としながら、深くため息をつく。仕方がないから、洗顔用のタオルで軽くふき取るだけしてそのまま服を身につけて部屋へと戻った。カップラーメンをすすりながら、テレビを見る。
「ちぇ、夏のやつ」
そう、恨めしげに呟いた。
そもそもそれは、今朝の出来事から始まっていた。