愛の歌、あるいは僕だけの星

「夏、おまえ今日学校はどうすんの?」

『んー……』

 朝の支度をしながら聞けば、夏はいつも以上に気のない返事をした。テレビを見ながら、こちらを振り向きもしない夏にムッとして、プチっと電源を消しながら再度聞く。

「夏、おまえ今日学校はどうすんの?」

『ちょっとお!見てるんだけど!』

 チャンネルを取り返そうと躍起になる夏をうまくかわす。夏は、ぷうっと頬を膨らませて、銀也を睨む。

『いかない』

「え!?」

『……なんでそんなに驚くのよ』

 いぶかしむ夏に、銀也は少し慌てた様子で言う。

「だって、おまえアホだから……、ちゃんと勉強した方がいいんじゃないかなと思って」

『あのねえ、幽霊はアホでもそんなに困らないの』

 夏は、銀也をどつきながらもきっぱりとそう言った。
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