愛の歌、あるいは僕だけの星
苛々して、もやもやして、その理由に頭を悩ませてまた苛々する。まったく酷い悪循環だった。
「……まず」
カップラーメンを置いて呟いた。
(俺、こんなもの一日三食、食べてたのか……、夏が来るまで)
不摂生を見かねて、夏は銀也のために料理を教えてくれている。ぱらぱらとテーブルに置かれたノートを見れば、随分とレシピも溜まってきた。まだ使い捨てカメラはフィルムが結構残っているから現像には出せていないけど、それを見るのが楽しみでもある。
半分以上残ったカップラーメンを置き、そのままベッドへと寝転がりながらテレビをつけ、チャンネルを適当に変える。大好きなお笑い番組も、ドラマも、なぜだか一向に魅力を感じない。
(なんでだろう)
いつも、夏とのチャンネル争いに勝利した後に見るテレビ番組ほど、面白いものはないのに。今日からしばらくは、そんなことをせずとも好きな番組を見放題で、どんなに嫌いな食べ物を残したとしてもお咎めもなし。
自由なのに。