愛の歌、あるいは僕だけの星
「誰だろうな。そんなアホなこと言うの。ねえ、あんたは何もしなくていいの?ただの観客?」
口元に浮かべた笑みを深める。
そんな単純な挑発に触発されたのか、震える身体全身を使って銀也に飛びかかっては来たものの、避けるのは容易なことだった。
「そいつに言っとけ。アホなこと言う前に、自分で確かめに来いってな」
そう吐き捨てて、容赦なく最後のひとりを殴り飛ばした。
「痛ー……。だから嫌なんだよ、人殴んの」
ひらひらと手を振る。
「ははっ、藤原、お前やっぱりバカんなったわ」
一番最初に転がされた、おそらくリーダー格である原田という少年が、皮肉な笑いを漏らした。
「なんだって?」
「昔のお前のが、賢かったよ。こんな、真正面からケンカを買って、しかも自分から手え出すことなんてしなかったじゃねえか」
「意味がわからない」
「……っ、はは。どうしたんだ?藤原。おまえ、頭のネジどっかに落としてきたんじゃねえの」