愛の歌、あるいは僕だけの星

 くつくつと笑う原田を冷えた目で見下ろした。

「腑抜けはお前だろ。地面にケツつけといて無駄吠えすんのもいい加減にしとけよ。惨めなだけだろ」

「……んだと!!」

 銀也による挑発だと、原田にも分かっていた。けれど、一気に沸騰した怒りが衝動的に彼の身体を突き動かしたのだろう。痛みを無視して、残った力をそのまま振り下ろした。

「なんか、俺の方が悪者みたいだな」

 そう呟き、腰を低くして避ける。左足を一歩踏み出し、自分へと向かってきた原田を真正面から迎え受ける形で思い切り殴り飛ばした。

 平均よりもずっと背が高く、筋肉質の大柄な身体が、簡単に吹っ飛ばされる。側に積み重ねられていた机に激突して、がしゃん、がしゃんと大きな音を立てた。
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