愛の歌、あるいは僕だけの星
「お前たち、何をしているんだ!!」
怒鳴り声とともに、勢いよく扉が開く。
そこに現れたのは。
「……ゴッツ……」
銀也が、教室の入り口にちらと視線をやり、面倒くさそうに呟いた。
「藤原……!?お前……」
「正当防衛だ」
そこに広がる惨状を見て、ゴッツが絶句する。慌てて、倒れている原田の元へと駆け寄った。ぐったりとしていて、意識がない。金髪の間から、赤い液体が滲んでいるのを見て、ゴッツは小さく息を呑んだ。
「おい、お前たち、どっちか救急車を呼べ」
殴られて口元から血を流している少年が、呆然と立ち尽くしている。
「早くしろ!!」
「あ、……あぁ……」
慌てた様子で、ポケットから取り出したスマホで電話をかける。まるで、ドラマでも見ているかのような光景だと、銀也はただ人事のようにその様子を眺めている。ぬるり、嫌な感触があると思えば、自分の手もまた皮が破れて血が滲んでいた。