愛の歌、あるいは僕だけの星

「お前たち、何をしているんだ!!」

 怒鳴り声とともに、勢いよく扉が開く。
 そこに現れたのは。

「……ゴッツ……」

 銀也が、教室の入り口にちらと視線をやり、面倒くさそうに呟いた。

「藤原……!?お前……」

「正当防衛だ」

 そこに広がる惨状を見て、ゴッツが絶句する。慌てて、倒れている原田の元へと駆け寄った。ぐったりとしていて、意識がない。金髪の間から、赤い液体が滲んでいるのを見て、ゴッツは小さく息を呑んだ。

「おい、お前たち、どっちか救急車を呼べ」

 殴られて口元から血を流している少年が、呆然と立ち尽くしている。

「早くしろ!!」

「あ、……あぁ……」

 慌てた様子で、ポケットから取り出したスマホで電話をかける。まるで、ドラマでも見ているかのような光景だと、銀也はただ人事のようにその様子を眺めている。ぬるり、嫌な感触があると思えば、自分の手もまた皮が破れて血が滲んでいた。
< 226 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop