愛の歌、あるいは僕だけの星


 ***


 薄暗い職員室。今日の最終退校当番だというゴッツの他に、残っている職員は誰もいないようだった。空いている席からイスを寄越され、おとなしく席に座る。

「なんだよ。もったいつけないでさっさと言えば?時間もったいない」

 反省の色などちっとも見せない銀也に、ゴッツが深い溜息をつく。銀也の前に、インスタントコーヒーの入ったマグカップを置いた。

「何かあったか?」

 ゴッツは、真っ直ぐに銀也の目を見てそれだけを聞いた。

「なにか、って何?別になにもないし」

「……言いたくないなら、それでいいんだ」

 その返しに、カチンとくる。

「説教すんなら、説教らしくやれよ」

 思わず、声を荒げて言った。そんな銀也に、ゴッツは仕方ないな、ゆっくりと口角を持ち上げる。

「じゃあ、言わせてもらうが」

「なに……」

「おまえは、何をしているんだ!仮にも生徒会長だろうが!!何の理由があったにしろ、売られたケンカを買ったんだな。そういうこともあるだろう、それは仕方ない」

「え、いいのかよ」

「だがな、ストレス発散したい為だけに人を殴るな。人に当たるな!」
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