愛の歌、あるいは僕だけの星
「怖いなんて、……あるはずないだろ。そもそも、変化って」
「今はそれでもいい。だけどな藤原、覚えておけよ。いつか、どこかのタイミングできちんとそれに向き合わなければならない。逃げ続けてばかりじゃダメだ」
ゆっくりと、紡がれるその言葉は、不思議と否定する間もなく、胸に染み込むような感じがした。
「説教はここまでだ。もう帰りなさい」
「……ああ」
「そうだ、忘れとった。処分のことなんだが」
「そこ重要だろ」
「まずは、反省文十枚」
「はあ!?多すぎ!!」
「人を殴ったんだから、当たり前だ」
不服そうに口をとがらす銀也を、ゴッツがじろりと睨む。
「正式な処分については、明日の職員会議で具体的に降りるだろう。正当防衛だということは憂慮するとさっき校長に報告した時にも言われたから安心していい。連絡が行くまでは、家でしっかり向き合うことだ」
「……さっさと謹慎にでもしてくれた方がよかったのに」
イスから立ち上がり、鞄を手に職員室から出ようと扉に手をかけた。藤原、と呼ばれて振り返る。その瞬間、「戻って来いよ」ゴッツが一言そう言った。