愛の歌、あるいは僕だけの星
朦朧とするまま、その場でしゃがみ込む。ゆっくりと、頭の中がまわる。眠りと覚醒の狭間。
ああ、これは夢だ。
辺りを見渡しても、永遠に闇が広がっているようだった。一筋の光もない暗闇の世界。そこに、自分ひとりが存在する夢。一生懸命手を伸ばしても、つかめるものは何もなかった。
大声で叫ぼうとしても、声が出ない。本当に、闇に溶けてしまったかのよう。目を開いているのか、閉じているのかも分からない。なんにせよ、どちらをしても見えるのは黒一色だから、関係はないのだろうけど。
(夢だとしたら、きっと悪夢だ)
光がない。この世界には闇しかなくて、自分もその一部でしかない。
(あれ、それって……、なんだ?)
光?自分は、そんなものを、望んだことがあっただろうか。
ぱちり、瞬いた瞬間に鮮やかな色が目に飛び込んできてはっとする。Tシャツが身体に張り付くくらいに汗だくだ。ばくばくと心臓が大きな音を立てている。しゃがみこんだまま、どうやら銀也は一瞬意識を失っていたようだった。