愛の歌、あるいは僕だけの星

 ドサッ、持っていた荷物が銀也の手を離れ地面へと落ちる。おにぎりが、ビニール袋の中から転がり出た。

「やべ」

 しゃがんで拾おうとしたその時、ぐにゃりと視界が歪んだ。酷い目眩と吐き気。そのまま立っていることも出来ず、崩れるようにしゃがみ込んだ。その時だった。

『銀也!』

 降ってきた声に、一瞬顔を上げる。けれど、その声の主を確かめる間もなく、そのまま意識は遠くへと消えていった。

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