愛の歌、あるいは僕だけの星
『ありがとう。お父さん、お母さん』
両親にお礼を言って、銀也の眠る部屋へと戻る。ベッドの横に膝をついて、瞼を閉じる銀也を見つめた。相変わらず、女の子も羨むくらい端正な顔立ちをしている。
「……ん」
それからしばらくして、ふと銀也が目を覚ました。
『銀也、よかった。おはよう』
まだはっきりと覚醒していないのか、焦点の合わない瞳でぼんやりと視線だけ動かした後、「夢か」そう一言呟いて、もう一度深く布団をかぶり直して寝ようとする。
『ちょっと!夢じゃないから!』
そう声を掛けた瞬間、銀也がばっと跳ね起きた。きょろきょろと慌てた様子で辺りを見渡した。自分がどこにいるのか、まったく分かっていないようだ。
「ここどこ?」
『あたしんち』
夏を見て、ぎょっとしている。「な、夏!」そう声を上げて、サッと顔を赤らめ、逃げるように布団のなかに潜り込んだ。