愛の歌、あるいは僕だけの星


 水底から、ゆっくりと引き上げられるように目が覚めた。ぼやけた視界が、徐々にクリアになっていく。見上げる天井は、見慣れた自分の部屋とは異なるようだ。一体、ここはどこだろう。

 しばらくぼうっと視線だけ動かしていたものの、すぐに自分の状況を思い出して飛び起きた。くらりと頭の中が揺れて思わず頭を押さえる。息をついて、今度はゆっくりと辺りを見渡す。
 白い壁、アンティーク調のデザインの棚、猫足が洒落た勉強机。シンプルながら女の子らしい部屋。もしかして、もしかしなくても、夏の部屋だった。恥ずかしくなって、思わず布団の中に潜ろうとする。だって、なんて言い訳をすればいいんだ。
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