愛の歌、あるいは僕だけの星
『ねえ、銀也。本当はもう、とっくに気づいてるんじゃないの?』
「なにに……」
夏は目を細めた。
『そんなに苦しんで、悩んで、怖がって……、けど、それだけじゃないでしょう。気づいたのは』
やっぱりだ。
銀也は、自分の鼓動に心をゆだねる。一定のリズムに、耳を澄ます。夏は手厳しい女だなと改めて思う。誤魔化すことを許してくれない。
逃げようとしても、後ろから銀也に声をかける。なぜだか、彼女の言葉は無視できなくて。どんなに面倒くさくても、いつものように切り捨てようだなんて思えなかった。むしろそれを。
『もう、銀也は知ってるよ』
うん、そうだな。その通りだ。
俺はもう知ってる。銀也は、ゆっくりと頷いて瞳を閉じる。