愛の歌、あるいは僕だけの星
夏は探しにきた。
暗闇で、じょうずに隠れていたのに。うずくまって動こうとしなかった銀也に、何の遠慮もなしに声を掛けた。
『いた、こんなところに』
波は、闇の世界を崩した。
脆くて、今にも崩れ落ちそう。ひとりじゃ、ここから逃げ出すことなんて出来やしない。けれど、彼女はやってきたのだ。
『みつけた』
そう言って、手をさしのべる。
さしのべられた手を、ようやく握りしめた。
まるで光だ。
暗闇に輝く、ただひとつの光。消そうとしても、きっと消えない。輝いて欲しいと願わなくても、輝き続ける光。
目が眩む。
胸を焦がすような衝動も、切ないくらいの思いも、そうだ。本当はずっと……。