愛の歌、あるいは僕だけの星
窓辺に歩み寄る。
月の光がない分、いつもより星の輝きを強く感じる。
「夏」
『なあに?』
少し考えるように首を傾げた後、銀也はゆっくりと笑って見せた。
すると、なぜだか夏は驚いたような顔をした後に、僅かに頬を染めてうつむいた。
「……なんでもない」
『なによ、それ』
「不思議だな。いつも真っ暗闇だったのに」
夏は、静かに隣に立ち、同じ空を見上げた。
ひとりごととして滑り落ちるはずだった言葉を、夏がひろう。
『闇の中にも光はあるよ。夜空に星が瞬くように』
夜は更けていく。
空に星。心に確かな光をともして。