愛の歌、あるいは僕だけの星
鈴と子猫たちは、出産用にと作られた段ボールのベッドでようやく落ち着いて寝始めた。
「ごめんね、銀也君。朝からバタバタしちゃって。鈴のことは、夏がずっと面倒を見ていたから少し慌てちゃった」
申し訳なさそうに言うのに、にこりとほほ笑む。
「全然。むしろ、すごくいいものを見せてもらいました」
「ふふ、ありがとう。銀也君は優しいのね。大したものはないけど、よければ朝ごはんも食べて行って?今日は、学校休むでしょう?」
「ありがとうございます。それじゃ、お言葉に甘えます」
本当は、ほぼ一週間学校には行っていなかったのだけれど、さすがにそんな余計なことは言えない。
朝ごはんをご馳走になった後、洗面所を借りて顔を洗う。銀也は、鏡に映った自分の顔をまじまじと見つめる。昨晩、柄にもなく泣いたせいで、まぶたが若干腫れぼったい。
みっともない顔だ。なんて、沸き上がる気持ちを誤魔化すように安っぽいことを考えながら帰り支度をする。