愛の歌、あるいは僕だけの星
その中に、副会長の蒼井の名前をいくつか見つけて、さっと顔から血の気が引く。面倒事ばかりの生徒会の仕事を、すべて蒼井に任せてきてしまったのだ。元々超がつくほど真面目で責任感の強い蒼井だ。さぞかしご立腹に違いない。おそるおそる、メッセージを開く。そこに並んだ文字に、銀也は思わず目を丸くした。
―会長、具合は大丈夫ですか。こちらのことは気にせず、けれど落ち着いたら絶対に顔出してくださいね。
銀也の身体を案じる言葉、それだけだった。
固まったまま、メッセージを見つめている銀也の横から、夏が興味津々と覗きこむ。
『蒼井君、心配してるじゃん。ていうか、あんた一体何日休んだの?』
「人のメール見んなよ」
『ふーんだ』
夏が、ぽちっとテレビをつける。それを確認して、こっそりと返信画面を開いた。
―ごめん、ありがとう。あしたは絶対行くから。
何を言えば許してもらえるだろうか。蒼井から送られてきたメッセージにもう一度目を通しながら考える。てっきり、叱られるとばかり思っていた。まさか心配してくれているだなんて、思いもしなかった。
「明日は、学校行かなきゃな」
ぽつりとこぼれた独り言に、夏が『無理しないでね』と言う。
なんだか無性に胸がいっぱいになって、そのままぱたりとベッドに身を横たえた。