愛の歌、あるいは僕だけの星

 その言葉に驚愕して、思わず言葉に詰まる。神谷は、意外そうな顔をして銀也を見つめた。

「藤原と夏って、ほんとにどんな関係だったの?私、夏から何にも聞いてないんだけど」

「だ、だからー……」

「まあ、答える気もないんだろうから、それ以上は聞かないけど。でも、ありがとう」

「なんで、神谷さんが礼を言うんだよ」

「だって、夏も嬉しいだろうから」


 会話の途中で予鈴がなり、結局会話はそれきりとなった。午後一番の授業は、担任であるゴッツの授業だったけれど、野太い声も今はまるで子守歌のようだ。すぐに、こっくりこっくりと頭が揺れる。だんだんと、周囲の音が遠くになるのを感じる。眠りに落ちる直前の、この瞬間が一番好きだ。
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