愛の歌、あるいは僕だけの星
資料を受け取り、行き先や予算についてもう一度目を通す。蒼井が一度見直しをしてくれているとあって、直すところも殆ど見当たらない。詳細については、企画がこのまま無事に通ったところで、詰めていこうということになった。
企画書をクリップで纏め、職員室へ向かう。学年主任であるゴッツに資料を手渡せば「よくできてるな」と感心したように言う。
「皆このイベントは楽しみにしているからなあ」
「そうなんだ?」
「ああ。高校最後のイベントだしな。藤原、お前休んでて殆ど案出しもしてねえんだから、ちゃんと参加して盛り上げろよ」
ばしんと大きく背中を叩かれ、思わず「痛っ!」と声を上げた。