愛の歌、あるいは僕だけの星
夏休みが、ついに幕を開けた。
中間テストに加えて、ぎりぎりまでこの林間学校の準備に追われて、正直銀也を含めた生徒会メンバーは疲労困憊だったのだけれど、最後までなんとか踏ん張った甲斐もあり、今日を迎えることが出来たのだった。
(こんな暑い日は、クーラーのかかった部屋でのんびりテレビでもみてたいところだけど……)
となりで、嬉しそうに瞳を輝かせている夏をちらりと見て、ごくりとため息を飲み込んだ。
全員がバスに乗り込んだのを確認して、運転席のすぐ後ろの席へと座る。
「銀也君、となり空いてる?」
寝不足も相まって、すでにうとうととし始めていたところに、同じ生徒会の女の子に声を掛けられる。
「ごめん。俺、車酔い酷いから、二席使わせてもらってるんだ」
にこりと言えば、彼女は申し訳なさそうに首を横に振り、ごめんねと蒼井のとなりへと座った。
『気を使わせてすみません』
「なんで敬語なんだよ。気にしなくていいから」