愛の歌、あるいは僕だけの星
意外とは余計だ。そう思いつつ、近くに移動車販売のカフェを見つけて、暖かいココアを買った。ベンチに座りながら、そっと口をつければふわりとした甘さが口いっぱいに広がる。ほっと一息つきながら、目の前の湖を眺める。
ぽちゃん。
『あ、魚が跳ねた!』
「ほんとだ」
「……何が、ほんとだ、なんですか?」
「や、なんでもない……」
慌てる銀也に、隣で夏がくつくつと笑う。楽しそうにしている彼女に怒る気にもなれず、小さなため息だけをついた。
「ふふ、会長、誰のこと考えてたんですか?」
「誰でもいいだろ!」
『誰々? 気になるう』
便乗して茶化してくる夏を、こっそりと睨みつける。
「蒼井こそ、今日神谷さんも来てるみたいじゃん」
「はい。まさかレンゲが来るなんて思ってませんでした。ちょっと意外です」