愛の歌、あるいは僕だけの星

「あんまりうざかったら、まじで塩で結界つくって家に入れないようにしてやるからな」

『それ、藤原君みたいな素人がやっても多分意味ないと思うけど』

「うっさい!」

 苛々して、ベッドに勢いよく腰掛けて、リモコンでチャンネルを変える。すると、真横で如月が『あっ!』と大きな声を上げた。

『ちょっと!あたし、この後見たいドラマがあるんだけど!勝手にチャンネル変えないでよね!!』

「俺だってこの後見たい番組があるんですー」

『ひっどい、最低!女タラシ!』

「関係ねーだろ、それ!幽霊にチャンネル権があると思ったら大間違いだぜ」

『きーっ!いいじゃん!お情けくれたって!!幽霊にも尊厳を!』

 本気で怒っている如月を見ていたら、無性におかしくなって、笑いがこみ上げてくる。

「あっはは……!なんだそれ、馬鹿じゃねえの」
< 31 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop