愛の歌、あるいは僕だけの星

 ***

 三人でペンションへと戻ると、すでに他の生徒会メンバーを中心に夕食の準備が始められていた。銀也と蒼井の姿を見つけた三原が、「こっちこっち!」と大きく手を振る。

 ふわふわとした髪をしっかりとひとつにまとめ、いつもと雰囲気の違う三原の横で、神谷が包丁を握っていた。

『わお、バーベキューじゃん! いいねいいね』

 食べられないにもかかわらず、夏がぺろりと舌なめずりをする。置かれていた今日の献立を確認すれば、定番の焼きそばの他に、マッシュルームとエビのアヒージョや、ペンションに用意されている石窯で焼くピザ、ダッチオーブンを使ったローストチキンとなかなか豪華だ。

『ダッチオーブンでスタッフドチキンか、すごくいいね。アウトドアの定番。それじゃあ、銀也』

 きらりと夏の目が光ったように見えたのは気のせいじゃなさそうだ。彼女の言うがままに手を洗い、用意されていた包丁を手にとる。夏がそばに置かれていた食材をチェックして、指図されるとおり食材を並べる。
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