愛の歌、あるいは僕だけの星


 そうしてすべてのメニューが完成したころには、すっかりと辺りは暗闇につつまれていた。中央に置かれた火が、ゆらゆらと橙色の明かりで照らしている。

 手渡された紙皿には、次々と料理が乗せられて、あっという間に腹いっぱいになってしまった。冷たい麦茶でのどをうるおして、蒼井と三原と一緒に近くの高原まで足を伸ばした。

 寝ころべば、夏草の青々としたにおいが鼻をくすぐる。

『星、綺麗だね。プラネタリウムの中にいるみたい』

 夏が夜空を見上げながら言った。こうして、何度一緒に空を見上げたのだっけ。そっと考える。

「満天の星空って感じだね。都会でみるのと全然違う」

 三原も、同じように寝ころびながら指をさす。ひゅ、と長い尾をひきながら、ひとつ夜空を星が駆けた。流れ星だ。

「あっという間だな」

「……もっと、ゆっくりと流れればいいのに。これじゃ願い事が間に合わないよ」
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