愛の歌、あるいは僕だけの星
「あーあ、私のこと好きになってくれないかな」
「それは難しいだろうね」
笑いながらすっぱりと言い切った蒼井を、三原がじろりと睨んだ。
「言ってくれるわね」
「はは、だって会長、好きな人いるし」
「知ってるわよ、そんなの」
えっ、と思わず声を上げる。ずっと一緒に仕事をしていた蒼井でさえ、ようやく最近銀也の一面を知ることが出来たというのに、転校生の、言い方は悪いが、正直銀也が苦手とするような三原がそれを知っているのは意外に思えた。
そんな風に蒼井が考えたことなんて、三原はお見通しだったのだろう。どこか自慢するように胸を張って言った。
「"夏"」
その名前を耳にした瞬間、蒼井の身体がぎくりと固まった。思いも寄らぬ蒼井の反応に、三原は首を傾げる。