愛の歌、あるいは僕だけの星

 そんなに笑うなんて酷いと、頬を膨らます如月の反応を見ていたらどうにも笑いが止まらない。こんな風に、思い切り笑ったのなんていつぶりだろう。目尻に浮かんだ涙を拭いながら、そっと首を傾げた。

 番組を変えられたことがよっぽど悔しかったのか、すっかりヘソを曲げてしまった如月は、頬を膨らましたまま銀也に背を向ける。

「おーい、如月」

『……』

「……いつまで拗ねてんだよ、いい加減にしろよ」

 恨めしそうに銀也を睨みつけながら、『この、テレビっ子が』と吐き捨てる。いじけているのを見せつけるように膝を抱えて、目線だけをこちらに向けてくる。テレビ好きな自覚はあるから、言葉にうっと詰まってしまう。

「言っておくけど、ここは俺の部屋だから。何見ようと俺の勝手だろ」

『そうだけど!そうだけど!!お願い、一緒に見ようよ。すんごく気になる続きで終わってたの。まさか見られるとは思わなかったし、ね!』

 このとおりと、銀也の前で両手を合わせてくる如月。まさか幽霊に手を合わせられる日がくるとは。つい意地悪がしたくなって、ツンとそっぽを向いてやれば、「どケチ!」と声を上げた。
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